植物工場日記 Plantfactory’s Diary

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神戸フルーツ・フラワーパークに太陽光利用型植物工場(トマト・イチゴ)施設が稼働

神戸フルーツ・フラワーパークの太陽光利用型植物工場によるトマト・イチゴ栽培施設が稼働した。また同エリアではパナソニックの指導を受け、人工型植物工場による低カリウムレタスの生産も100m2にて行われている。

 

 神戸市が神戸フルーツ・フラワーパーク(北区大沢町)内に整備していた最先端の園芸施設が完成し、6日完工式が行われた。基本理念であった農業への「回帰」を目指して再編を進めていた同パーク。今春には植物工場も稼働しており、地元農業の振興に向けた研究拠点として本格的に始動する。(上野綾香)

軒高は5・2メートルあり、トマトの茎を上まで伸ばし、高所作業車で収穫できるようになっている(神戸市北区で)

 同パークは、35ヘクタールの敷地に果樹園やプール、ホテル、広場を備えたテーマパークとして1993年に開園。初年度に160万人あった入園者は、直後に阪神大震災が起きたこともあって伸び悩み、施設の老朽化が進んで、2010年度は45万人にまで落ち込んだ。

 このため、12年度には活性化を図ろうと、本来の農業振興を主軸とした再整備の方針が有識者会議で示された。市は13年度以降、ホテルを売却する一方、情報通信技術を活用した植物工場と園芸施設の建設を進めていた。

 今回、約2億円をかけた園芸施設は、温度や湿度の自動制御装置 などを備えた「ハイテク温室」。技術の有効性を検証、確立することで新規就農者や後継者の育成につなげたり、栽培データを地元農家に還元して、品質の向上 につなげる狙いがあるほか、人材育成の研修施設としても使う。

 栽培するのは、トマトとイチゴの2種類。トマトは、市内の生産量が最盛期の3分の1まで、イチゴは半分近くにまで低下している状況からの復活を図る。

 ハイテク温室のトマト棟(約2100平方メートル)には、廃液 を再利用できる循環システムを導入し、環境負荷の軽減やコストの削減につなげる。さらに、軒高を5・2メートルとし、植え替えせずに茎を伸ばしても高所作 業車で収穫できるようにした。綿状の繊維の上で約4000本を養液栽培する。

 イチゴ棟(約1400平方メートル)も大人の腰の高さ辺りのベンチで、約1万本を土耕栽培する。運営はJA兵庫六甲が担い、トマトは約1000平方メートルあたり年間40トン、イチゴは5・5トンの収穫が目標だ。

 この日、完工式に臨んだ同JA営農経済事業部リーダーの板木政二さんは「経営モデルを確立し、産地や農家の手取りを拡大させることで、地域農業の活性化につながれば」と意気込む。

 また、4月に全面稼働した人工光を採り入れた植物工場(約 100平方メートル、4列3段)では、神戸みのりの公社とパナソニックが、腎臓病患者も食べられる低カリウムレタスの生産に取り組む。市農水産課の担当者 は「フルーツ・フラワーパークを農業振興の拠点として、競争力ある農業を育てていきたい」と話している。

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