来年4月に開校する「十勝さらべつ熱中小学校」にLED光源を採用したコンテナ型植物工場(完全閉鎖型)の設置を検討しているようだ。施設サイズは40ftコンテナであり、断熱性の高い気密施設であれば、光源や光源を設置するバックライトの部分の熱によって寒い地域でも、暖房不要で野菜の生産が可能である。
コンテナ型の小さいサイズでは必要ないが、大型施設にて条件次第では、北海道の寒いエリアでも冬場にエアコン冷却が必要な場合もあることから、完全人工光型植物工場は日照量の少ない極寒エリアの設置にも適しているだろう。
LED利用し水耕栽培検討 来春開校「十勝さらべつ熱中小学校」
【更別】村は、来年4月に開校する「十勝さらべつ熱中小学校」(山井太(とおる)校長)の事業として、コンテナ内で発光ダイオード(LED)を利用した水耕栽培を検討している。富士通(東京)などと共同で取り組み、台風など自然災害に強く、冬でも栽培可能な生産システムを構築したい考えだ。
熱中小学校は、農業や国際情勢などをテーマに社会人が学ぶ「大人の学び場」。日本IBMの元常務堀田一芙(かずふ)さんが提唱し、山形県高畠町で2015年から始まった。IT起業家や大学教員らが講師を務め、月数回講義を行う。校舎は帯広開建の旧農業開発事業所(更別南1線)を改修して使用。運営は「北海道熱中開拓機構」(木野村英明理事長)が担い、村も全面的に協力する。
コンテナは奥行き約12メートル、高さ、幅各約2・5メートルで、同事業所の敷地内に設置する計画。生育の早いベビーリーフや需要の高いハーブなど葉物の栽培を検討している。水耕栽培は一般的に暖房費などランニングコストの高さが課題だが、村によると、コンテナはLEDが発する少量の熱でも温度が保てる利点があるという。
栽培にはオホーツク管内美幌町などでLEDによる栽培を進めている富士通などの指導を仰ぐ。新農業技術の普及を進めるNPO法人グリーンテクノバンク(札幌)によると「コンテナを利用したLEDによる水耕栽培は珍しい」という。
また村は、同敷地内に、コンテナを活用した地場産品を販売するマルシェやカフェ、交流スペースの設置も検討している。マルシェでは全国各地の熱中小学校が企画した商品も販売する予定。宿泊施設も整備し、村外から授業を受けに来る人や講師、村への移住希望者が利用できるようにする。
村はこれらの事業費を計1億円と見込み、一部に国の地方創生関連の交付金を充てたい考え。西山猛村長らは今月10日、内閣府の松本洋平副大臣を訪問して支援を要請。西山村長は「交流人口を増やし、地域活性化につなげたい。村民のニーズを把握しながら将来の更別のために事業展開していきたい」と話している。(坂口光悦)