植物工場日記 Plantfactory’s Diary

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UAEドバイにおける植物工場・施設園芸ニーズ

 植物工場の海外輸出を検討する際、ターゲットの一つとして挙がるのが中東諸国である。例えば、サウジアラビアは中東諸国(GCC)の中でも生鮮食品(野菜など)を多く食べる国の一つである。現地では露地栽培がメインだが、オーガニック農家も徐々に表れている。

今回はUAEと、その首長国の一つであるドバイについて情報を記載する*1。写真はドバイの野菜市場の様子である。

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UAE首長国の一つであるドバイ

 ドバイはアラブ首長国連邦(UAE)を構成する7首長国の一つ。7首長国とはアブダビ、ドバイ、シャルジャ、アジュマーン、ウンム・ル・カイワイン、ラアス・ル・ハイマ、フジャイラとなっている。

面積は3,885平方キロメートルで、ほぼ埼玉県と同じ大きさ。UAE全体の総面積は83,600平方キロメートルと、ほぼ北海道の大きさであり、UAEの中でのドバイ首長国が占める割合は約4.6%である。

 

ドバイの気候条件

 ドバイの気候は亜熱帯気候に属している。1年は基本的に夏季(4~10月)と冬季(11月~3月)に分けられ、夏季は高温多湿で、気温は40℃以上、湿度は100%に近くなる。

一方、冬季は比較的温暖かつ湿度も適度で、平均気温は日中で20~30℃、夜間は15℃位になる。

 

ドバイの人口について

 ドバイの人口は1,929,110人(2011年3月末)と、約200万人。うち、UAE人は168,029人(2010年)と約17万人となっている。人口の大半は出稼ぎ外国人であり、インド人をはじめとし、パキスタン、イラン、アラブ諸国及び東南アジアなど、180の国と地域の人々が住んでおり、非常に国際的な町となっている。

 

ドバイにおける野菜の状況

 ドバイや周辺の首長国では、水が貴重なため農業用水に制限がかかっている。少ない水でも栽培でき、国内でも多く消費されているナツメヤシ(デーツ)の栽培がメインであり、生鮮野菜の生産は、ほとんど行われていない。

 

ただし、ドバイ周辺の首長国も含め、数カ所で施設栽培(養液栽培)を利用して、バラやきゅうり、パプリカの生産が行われているが、ごくわずかである。

太陽光利用型植物工場とまで呼べるシステムではないが、固形培地の養液栽培やNFTに近い水耕栽培、室内はパッドバンドファン(Pad & Fan)といった冷却システムが導入されていた。

 

 よってマクロ的にみると、ドバイで生産される食料はほとんどない。海老の養殖や野菜の栽培方法を過去に日本のJICAが指導したこともあったが、基本的には輸入に依存している。通常の輸入関税は5%程度で、野菜や果物、魚など、53品目の無税品がある。

例えば市場で販売されている野菜価格の一例をあげておく。

  • キャベツ50円<1kg>(イラン産)
  • 大根や葉野菜150円(イラン産)
  • カリフラワー450円(フランス産)
  • ホウレンソウやカブ、ネギ<1束:200g>25円

 

 細かい内容量は確認しなかったが、海外から価格の安い野菜が輸入・販売されていることは間違いない。よって、完全循環式にて露地より大幅に水使用量を削減できる植物工場をはじめとした施設園芸(養液栽培)であっても、わざわざ国内で栽培する必要性がない、と簡易調査からは判断した。

UAE国内の食料自給率を向上させたい場合、国内の土地で営農するより、水や気候条件が良い海外の土地を購入し、そこで大規模露地や植物工場にて生産し、UAEへ輸送(輸入)した方が現実的であるだろう。

*1:在ドバイ総領事館のウェブサイトから多くのデータを引用した

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