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植物工場日記 Plantfactory’s Diary

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パナソニックのシンガポール植物工場。サラダパック商品を約500円にて販売

パナソニック関連会社では、シンガポールにて自社工場の空きスペースを活用して完全人工光型植物工場を稼働させ、野菜の生産・販売を行っている。当初は和食チェーンの大戸屋・シンガポール店舗に販売し、施設規模が拡大後は現地スーパーでも販売。

現在はスーパー店頭にて約500円にてサラダパックを販売しているが、水菜やリーフレタスの葉物野菜にラディッシュのスライスを乗せ、ドレッシングとフォーク付きのサラダパック商品となっている。

シンガポールのスーパーを視察すると、ドレッシング付の様々なサラダパック商品が販売されており、米国企業の商品などは、もう少しボリュームがあるものの、同様の商品を300~500円前後にて販売されている。

よってリーフレタス1株を販売するよりも、高く販売でき、手軽に食べることができるサラダパック商品はシンガポールの消費者にもマッチしているだろう。

 

 日本では大手家電メーカーとして知られる「パナソニック」が、シンガポールではなんと野菜を生産、販売している—。

そんな話を耳にし、シンガポールの中心地にある、伊勢丹スコッツ店の食品売り場を訪れた。それは、日本産の生鮮食品コーナーではない、通常の野菜売り場にあった。

パッケージに躍るのは「Veggie Life」の文字。確かに、Panasonicと記されている。値段は6.90シンガポールドル(約510円)。数種類の葉物野菜のうえに、ラディッシュのスライス。ドレッシング、フォークつきで、オフィスランチのサイドメニューとしても申し分ない量だ。

しっかりと、「濃い」野菜の味が口に残った。

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なぜ、シンガポールで野菜なのか。パナソニック ファクトリーソリューションズ アジアパシフィック(PFSAP)社長の石井辰佳に話を聞いた。

この野菜が栽培されるのは、シンガポールのPFSAPのオフィスの一角にある工場。同国で、最初に認可された屋内野菜工場だという。

PFSAPは、1979年にASEAN地区の金型工場として設立。おもに、電子部品実装機などを手掛け、事業を拡大してきた。パナソニック ファクトリーソリューションズが農業ビジネスに参入したきっかけは、2010年。人口増加に伴う、世界的な食糧危機が取沙汰されるなかで、同社の技術を活かした新しい農業スタイルを模索していた。10年11月、同社は熊本で人工光型植物工場の実証実験に参画。ここで、自動栽培システムの開発と、基礎的なノウハウを取得した。

13年には、シンガポールで既に3店舗を展開していた日本食レストラン「大戸屋」と、パナソニックのトップ同士の交流を機に、シンガポールの工場での実証実験をスタート。

食糧自給率の低いシンガポールでは、野菜は“輸入するもの”だった。「輸入であれば、店に並ぶまでに2、3日はかかってしまう。当然、鮮度も落ちる。ですが、シンガポール国内で生産すれば、収穫したその日に店に届けることも出来る。『鮮度』と『栄養価』をウリにしています」

屋内工場なら、天候に左右されることなく、野菜の安定供給が可能になる。独自で開発したLED照明を取り入れることで、露地物よりも、栄養価の高い野菜を栽培することができるようになった。

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シンガポールの野菜の自給率はわずか8%。政府は、これを10%まで上げることを目標に掲げる。方向性が一致したことで、政府から農業指導などのサポートを受けることもできた。

現在は、水菜、ラディッシュ、リーフレタス、パプリカ、大葉の5種の野菜を、先のシンガポール伊勢丹や大手スーパー「Fair Price」などで販売する。シンガポールの大戸屋で供される「カツオ節サラダ」や「野菜ロール」といったメニューで使われるのも、パナソニックの屋内野菜工場で栽培されたものだ。

「シンガポールでは、長く生野菜を食べる文化はなかった」と石井は言う。確かに、現地のレストランでメニューに並ぶのは、野菜の塩、コショウ炒めなど、火を通したものが圧倒的に多い。

サラダパックを販売するにあたり、店頭では積極的に試食販売も行った。「そこでは、『フレッシュだね』という言葉も多く聞かれるようになりました」

健康意識が高まるシンガポールでは、近年、サラダ専門店が続々オープンしている。ビジネス街では、ランチに自身でカスタマイズしたサラダを頬張る人々を多く見かけた。そんな時代の空気とも、うまくマッチしそうだ。

「目標は、野菜事業がきちんと儲かる仕組みをつくること。シンガポールで成功させて、他のASEAN諸国でも展開していきたい」

今後は高級フルーツの栽培も視野に入れているのだとか。日本の技術が、課題解決のツールとして、新たな形で花開いている。

forbesjapan.com

 

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