農業特区による規制緩和が進められている兵庫県・養父市では、露地から植物工場まで様々な栽培方式にて民間企業が参入を果たしている。植物工場でも既に、オリックス不動産が体育館をリノベーションした完全人工光型植物工場をオープンさせている。植物工場・農業ビジネスオンラインによると、さらに別企業が空き工場を利用して人工光型植物工場をオープンさせる、という。
農業特区の養父市に人工光型植物工場を新たに建設(兵庫ナカバヤシ)
雑誌や研究誌の製本で全国7割以上のシェアを持つ兵庫ナカバヤシが、兵庫県養父市大谷の関宮工場にリーフレタスを生産する完全人工光型植物工場を建 設する。計画では2月中旬に稼働し、4月に出荷を開始する。同社によると、国道9号沿いにある工場(延べ3919平方メートル)の一部約336平方メート ルを改装する。
水耕プラント開発で実績がある愛知県弥富市の企業「M式水耕研究所」の技術を用い、大阪府立大農学部の支援で開発した専用の発光ダイオード(LED)照明 を使う。栽培には、ペットボトル詰め天然水の製造・販売会社「サン・ウォーター」(養父市上箇)がくみ上げる氷ノ山山系の地下水を使用。
日産600株の収穫からスタート。最初は地元を中心に販売して認知度を高め、数千株への増産を目指す。
<M式水耕研究所ウェブサイトより> 兵庫ナカバヤシは、アルバムや手帳などで知られるメーカー「ナカバヤシ」の子会社。大学や研究機関などが発行する印刷物の合本製本やデジタルデータへの変換などを手がけている。従業員約170人。
関宮工場は1981年に開設。少子化や電子媒体の普及で需要が減少したため、同市大屋町の工場に事業を統合する一方、関宮工場の従業員23人の雇用を維持 するため新規事業を検討していた。養父市が農業分野の国家戦略特区に指定されたことから相乗効果を期待し、水耕栽培に参入する。総務省の交付金を活用し、 約1億円の設備投資をする。