日本でも、かつては複数の刑務所にて農作物の露地栽培が行われていたが、最近では農業事例を新たにスタートするような話を聞いたことがない。日本では刑務所に関する事業や受刑者への支援について、あまり重要視されていないだろう。
しかし米国などは民間企業が刑務所を運営しており、地域住民の理解を得ながら、受刑者への社会復帰を行うために農場を設けるケースも増えている。また刑務所敷地内だけでなく、週末には外に出てファーマーズマーケット直売所にて、自分たちが生産した農作物・加工品を販売することも多い。
日本でも以下のような事例ができたようだ。社名は伏せているが、ドーム型ということでグランパ社のドーム型・太陽光利用型の植物工場ではないかと、推測される。
社会復帰へレタス栽培 甲府刑務所、技術習得…ハウス導入
甲府刑務所(甲府市堀之内町)は、受刑者が野菜の水耕栽培を行う大型ハウスを整備し、近く作業を始めることになった。作業を通じて受刑者に栽培技術を習得させることで出所後、担い手不足の農業分野での社会復帰につなげたい考えだ。
ハウスは7日、同刑務所が雇用協力事業所の関係者19人を対象に行った見学会で公開され、報道陣も見学に同行した。
同刑務所によると、ハウスは直径約30メートルで、円形のドーム形。塀の中に整備された真っ白なドームは、目に鮮やかだ。
23度程度の室温を保ち、日照も確保し、レタスを通年で栽培していく計画という。来週にもハウス内で種まきを始め、苗を育てる。
苗を植えてからは、収穫まで約2カ月。同時に約1万5千株を栽培できるが、連日500~600株ずつ苗を植えていき、順々に収穫できるようにする。
受刑者は現在、木工、金属、ミシンなどの作業に就いているが、農業生産法人などで使われている最先端技術の習得は、新たな就業技能として期待がかかりそうだ。
同刑務所によると、9月現在の収容人員は348人。約半数は覚醒剤、窃盗による服役だ。平均年齢は49歳だが、65歳以上の高齢者が約18%を占める。
約6割に就業支援が必要で、昨年度は6人、今年度は9月末までに12人の採用が決まった。昨年度に初めて、1人が所内の面接で内定。今年度も10人が内定を得た。
同刑務所では、溶接や建設躯(く)体工事の職業訓練も行い、バーベキューコンロなどを製作。各種資格でも100%の合格率を誇っている。7月からは、危険な訓練ができない受刑者も学べるパソコン技能の講義も始まり、3カ月で表作成などを習得したという。
「社会復帰と再犯防止のためハローワークへの求人をお願いしたい」(矢鳴正志看守長)と呼びかけている。