青森県にて完全人工光型植物工場によるリーフレタスやベビーリーフを生産する電子部品メーカーの安部製作所について。
参入から3年が経過し、現在は第1と第2工場の2エリアにてリーフレタスを日産700株、ベビーリーフを200パック/day 生産している。販売先は地元スーパーがメイン。
施設は小学校の廃校を利用して植物工場に転換している。
LEDが作る五戸の冬の新鮮野菜(五戸町)
外は雪。冬の青森野菜は、特産である大根や長芋、ごぼうなど、どちらかというと根菜類が中心。地元産の新鮮葉物野菜は珍しい。
青森県三戸郡五戸町にある(有)安部製作所。青森県初の“人工光型植物工場”でレタスやベビーリーフ、エゴマ等を栽培し、青森県内のスーパー等に、“Clean KiraKira Vegetable”のブランドで出荷している。
エゴマ |
地元の廃校となった小学校を借り受け、工場としている。
広さは、1教室という感じで、その中に棚状に野菜が並んでいる。
その棚をオゾンで消毒された溶液が巡っている。
旧五戸南小学校 |
オゾンで殺菌 | 溶液が棚を回る |
ウレタン培地に蒔かれた種は、発芽・育苗・仮定植・定植と段階を踏み、収獲される。
レタスで35~40日、バジルで30日ほどで出荷できるという。
クリーンルームでホコリや有害物質を防ぎ、無農薬で育てているため、段階的な作業の間実際に手を掛けるのは、培地に種を蒔くときと、定植するとき、出荷に際しての検査の時だけ。
セルに発芽した苗が | 検品作業 |
安部製作所は、もともと地元の電子部品メーカーだったが、時代の要請の中、安価な中国にモノづくりの拠点が移り立ち行かなくなった。従業員の解雇は苦渋の選択だった。
野菜工場は、直ぐに始めたわけではない。始めるまでに、10年近くの熟慮が必要だったという 。
起業して、3年が過ぎた今、第一工場、第二工場と二つの工場が稼働している。1日にレタス、700株、ベビーリーフ200パック等を地元スーパーに出荷している。
経営も安定してきた。
しかし、工業系の阿部さんが、業種の違う農業と言う業種に満足しているのか、どうか気になり聞いてみた。仕事に面白さは感じていますか?
「商品のレパートリーを増やそうと、いろいろな野菜の種を従業員と植えています。
小さな種が発芽し、大きくなっていくのを見るのは楽しいものです。」という。
特製の網戸の蓋を掛けている |
各種葉物をパックした商品
今後は、機能性食品として腎臓病の人向けに、カリュームの少ない野菜等を作りたいという。
商品のレパートリーを増やしたいと、スーパーと相談し、各種の野菜を詰め合わせたパック商品もデビュー。今後は地元農業高校を出た、若者の感性で商品開発をしていきたいという。
野菜の栽培技術に関してもより一層のグレードアップを図るべく、千葉大学とLEDの研究を進める予定だ。
今後の安部さんの進む方向性は?「安全安心は当たり前、ただ、まだ溶液栽培というだけで食わず嫌いの人が多い。実際に口にすれば美味しいという人や、野菜嫌いの子供が食べたという話も聞く。まずは、食べてもらうこと。その他、品種の拡大や技術の向上、そして食べてもらえるように販路開拓することですね」
【問合わせ先】
(有)
http://kirakira-vegetable.com
安部製作所の野菜が買える所
県内:(株)マエダ イトーヨーカドー各店
県外:青森県特産品センター