植物工場日記 Plantfactory’s Diary

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植物工場による薬用植物の栽培。最大の課題は生産コスト。甘草の露地栽培でもコスト高

 植物工場(太陽光・人工光型)による薬用植物の栽培研究が行われているが、課題は生産コストである。例えば漢方薬の7割以上に使用される甘草も人工光型植物工場にて、一定の薬効成分を含有したものが試験的には生産されているが、中国からの輸入甘草と比較すると価格的には5~10倍くらいの差がある、という。国内での生産は当面、露地栽培が中心となるだろう。

以下、薬用植物に関する内容をメモしておく。写真は熊本県合志市での甘草栽培の様子。

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  • 2001年に医学部のカリキュラムに漢方医学が加わり、医師の9割が漢方薬を処方するなど需要が増えている
  • 奈良県明日香村にて、地元農家で組織する「えいのうキトラ」では約10アールの畑で漢方薬の原料となる「ヤマトトウキ」を栽培。ヤマトトウキは奈良の特産品、根を湯通しし乾燥して利用する。血の働きを良くし婦人病に効果があるとされる。
  • 富山県の薬用植物指導センターでは、県内の農家にシャクヤクなどの種苗を提供し、希望者には栽培方法も教えている。同県では昨秋、過去最多の8.1トンを出荷した。シャクヤクも根を利用する。腹痛、頭痛などを緩和する作用がある。
  • 富山県は、県内や石川県の大学と連携し生薬を用いた新薬開発に乗り出した。シラカバの成分が、がん細胞による免疫制御作用を阻害することを突き止め、がん対策の創薬も研究中。

  • 島根県津和野町のベンチャー「にちはら総合研究所」は、蚕のさなぎにトウチュウカソウを接種し、培養して出荷している。トウチュウカソウはキノコの一種で昆虫に寄生して成長する。滋養強壮や疲労回復に効くという。培養技術の特許権は津和野町が保持。売り上げの5%が町の特許料収入となる。14年度の売り上げは約4000万円

  • 神奈川県は、「未病」を治す取り組みを進めている。未病は健康と病気との中間的な状態のことを意味し、放置すると本格的な病気に移行する。漢方薬を、こうした状態の時に用いて、病気の芽を摘んでしまおうというわけだ。

  • 日本の漢方薬の7割に使われている甘草は、けいれんや痛みの緩和、解毒作用があるとされる。08年に日本では1267トンが利用されたが、全量を中国からの輸入品が占めた。国内でも現在、露地栽培にて北海道日高町、新潟県胎内市、甲府市、熊本県合志市などの自治体で試験栽培が始まっている。

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