食料を輸入に大きく依存する中東・GCC諸国は、各国が独自に投資ファンドを設立し、農業分野への投資を行っているケースもあれば、中東諸国が共同でファンドを設立する場合もある。方法としては、途上国の農地を買い上げたり(長期リースの場合もある)、農業企業の株式を購入を通じて、食料・農業分野への投資を加速させている。
以下、少し古い情報(2009年前後)になるが、参考に記載しておく。
Qatar Investment Authority(QIA)
2000年設立の政府系投資ファンド。カタール国内のエネルギー分野以外に投資を行うことで安定的な収入を得ることを目的にしている。例えば以下のような分野がある。
その他、2009年にカタール投資庁傘下のハサッド食品社が、資本金1億ドルでスーダンに合弁農業企業を設立することを発表している。スーダンにある25万エーカーという巨大な農地を利用する。合弁企業の出資比率は、カタール投資庁傘下のハサッド食品社が75%で、残る25%がスーダン政府。
同様のモデルにて、合弁会社を設立すべく、ブラジル、米国、トルコ、アルゼンチンとも交渉を行っており、既に豪州で巨大事業を開始している。
アラブ農業投資開発庁(AAAID)
アラブ及びアフリカの20カ国で構成するアラブ農業投資開発庁(AAAID)では、2009年にアラブ諸国が農業企業の株式購入に特化する総額20億ドルの基金を設立。
アラブ農業投資開発庁(AAAID)は、既にUAEの農業企業であるアル・ラワビ乳製品社やロウダウ家禽社、フジャイラ家禽社の株式の30%をはじめとして、中東・アフリカの食料企業25社の株式を購入済みである。