植物工場日記 Plantfactory’s Diary

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冷涼な気候を生かした植物工場によるイチゴの周年栽培

 日本では主に温室ハウスにて、イチゴの収穫期間を延長し、周年栽培に近い形で出荷しているものの、6月~11月の夏秋については米国からの輸入に依存している。こうした現状を受け、完全人工光型植物工場によるイチゴの生産や、品種(四季成りイチゴ)や冷涼な気候を受け太陽光利用型植物工場によるイチゴの栽培もスタートしている。

 

 北海道次世代施設園芸コンソーシアム(フード特区機構)は、北海道苫小牧市内に建設した植物工場クラスターで 栽培したイチゴを、今月末にも首都圏の洋菓子会社に出荷開始する。夏が涼しい北海道の気候を活用。イチゴは暑さに弱いため東京では6―11月の期間は露地 栽培イチゴが入荷せず、洋菓子や生食用イチゴは海外輸入に頼る例がほとんどという。この事情を逆手に取り、植物工場で取れたイチゴを高価格で拡販。農家の 収入増や雇用確保につなげる。


今月末に出荷されるイチゴ

 フード特区機構は富士電機清水建設が資本参加する苫東ファーム、北海道、苫小牧市、JAとまこまい広域、北海道洋菓子協会、銀座コージーコーナー千葉大学などがメンバーで、農林水産省から「次世代施設園芸導入加速化支援事業」の指定も受けている。
 現在、面積2ヘクタールの栽培温室が完成し、育苗施設も建設中。温室は太陽光利用型でチップボイラ施設やヒートポンプ、養液栽培設備、高設栽培棚などを 設置。暖房代節約と栽培効率を上げるため、植物の成長を促すCO2をタンクにつないだチューブで株元へ直接送るほか、LPガス暖房を局所制御にしたり、 ICTセンサーで風向、風速、温度、湿度などを測定し最適制御を図っている。夜は放射冷却でハウス内温度が冷えるため、天井のカーテン開閉も有効活用す る。
 夏イチゴはショートケーキなど洋菓子向けに販売。ケーキ用イチゴは生食用イチゴより高価で売れるほか、競合相手も少ない。露地栽培イチゴが多く出回る時期は栽培本数を減らし、パート職員も抑えるなどで対応する。

北海道次世代園芸コンソーシアム、植物工場イチゴを今月出荷−オフシーズンで高値期待:日刊工業新聞

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