米国の植物工場・市場動向トレンド
世界市場において植物工場への投資が加速している。米国では人工光型植物工場の開発ベンチャーに5億円以上の 投資が行われている一方で、複合環境制御システムを導入した太陽光利用型植物工場も都市エリアを中心に屋上スペースにて設置するベンチャーなど、新しい事 業モデル・価値を提供することで10億円以上の投資を受けているケースもある。
植物工場市場の成長率は大きな米国市場であるが、全体の市場規模としては決して大きなものではない。この市場規模というのは大麻(医療用・娯楽用)を除い た野菜や植物の生産を対象とした市場を想定しており、米国全体の植物工場面積は536haとなっており、簡易的な施設栽培にまで対象を広げても1万haを 超えない程度である。
人工光型植物工場の面積は非常に小さいことから計算に含まれていない。施設面積は太陽光利用型を想定しており、以下の記事では太陽光利用型植物工場に話を絞って解説する。
米国はトマトをはじめとする園芸作物の一大消費国でもある。国内の栽培方式は大規模・露地栽培であり(加工用が中心)、高品質野菜を狙った植物工場の拠点はカナダやメキシコとなっており、現地にて生産した野菜をアメリカ国内に輸入しているのが現状である。
近年はメキシコにおける植物工場面積が拡大しているが、現在でもカナダは植物工場による生産拠点の一つであることは間違いない。
カナダの植物工場市場について
植物工場の施設面積と市場規模
太陽光利用型植物工場について、カナダにて稼働施設数が最も多いエリアはオンタリオ州となっており、その他にもブリティッシュ・コロンビア州(BC)にも大型施設が集中している。
例えばブリティッシュ・コロンビア州(BC)では60カ所の植物工場施設が稼働しており、その規模は最も小さい施設で約8,000平方メートルから、最大 で44haとなっている。BC州だけで植物工場面積は305haとなっており、カナダ国内全体における植物工場面積は合計で1,335haとなっている。
また、カナダにおける植物工場による野菜の生産・販売は国内だけでなく、米国を最大のマーケットとしながら、世界各国へ輸出を行っており、その市場規模は1,568億円となっている。
複合環境制御システムを導入した太陽光利用型植物工場の設備投資額は平均で1haあたり250万ドル(約3億円)となっており、オランダ国内にて流通している設備投資額と、ほぼ同額程度である。