機能性表示食品制度には生鮮野菜も対象となっており、特に100個を生産した際に100個が一定の栄養価になるように生産するためには最低限の環境制御や植物工場技術が必要となる。
現時点にて閉鎖型植物工場における機能性表示食品は「モヤシ」に限定されているが、今後は太陽光~完全人工光型植物工場まで、様々なビジネスチャンスが生まれる可能性がある。
食品の用途特許が今年4月から認められるようになった。機能性表示食品のヘルスクレームに直結する問題であることから、健食業界においても各企業の対応が迫られている。すでに水面下で動き始めている機能性食品の特許戦略を追った。
今年4月に特許庁が審査基準を改定し、食品にも用途特許が認められることとなった。これにより、関与成分に今まで知られていなかった効果を発見した場合、特許として20年間の排他的独占権が生まれる。権利侵害が確認された場合には特許法により、販売差止のほか、在庫廃棄、設備除去、損害賠償などを請求できる。
たとえばある機能性成分に「食後血糖の上昇抑制」があることを新しく発見し、用途特許で権利化した場合。そうなると、この成分を使用した商品で「食後血糖の上昇抑制」を表示できるのは今後20年間自分だけとなり、他社が同様のヘルスクレームを表示したい場合には、ライセンス料の支払が必要となる。
今後は、新規成分を発見した場合には用途も合わせて特許で権利化する、商品パッケージなどにヘルスクレームを表示する場合、他社の権利を侵害していないか確認する――などの措置が必要になる。
取材ではすでに5月あたりから、機能性表示の届出前に用途特許で出願を進めている企業があることが判明。本格的な権利化が進むのは出願公開後の来年秋以降とみられるものの、早期審査ですでに権利化されている場合もある。
ヘルスクレームは売上に直結するものであることから今後、機能性表示食品において用途特許をめぐる企業間の綱引きが激しくなり、勝者と敗者がでてくることは目に見えている。特許は先に出願した方が有利であることから、レースに出遅れないための対応が迫られる。