米国での植物工場ビジネスが盛り上がっています。様々な方式が普及しつつある中で、今回は垂直式・噴霧栽培を行う植物工場ベンチャーの紹介。記事によると、約140gのリーフレタスを地元スーパーにて4ドルで販売しており、この商品価格で、まずまずの売れ行きのようだ(地産地消のライバル商品が少ないため)。
生産したリーフレタスの1株・生産コストは66円。この価格帯で販売できるのであれば、3年にて初期投資を回収できる、という。
米国Living Greens、垂直式・噴霧栽培の植物工場プラントを拡大
垂直式の完全人工光型植物工場システムにて、リーフレタス等を生産する米国Living Greens Farm社では、現在の生産施設を拡大し、量産体制を確立する。同社はミネソタ州フェアリボーの空き倉庫を活用して植物工場を稼働させている。
同社は、自作にて栽培棚を組み上げて、家庭菜園レベルで5年前に試験栽培をスタート。2014年頃から本格的な多段式・水耕栽培にて、様々な技術開発を行ってきた。
他社の植物工場では平面多段式が多い中で、同社が提案するシステムは垂直式タイプの噴霧式の水耕栽培。
培地はロックウールを使用し、植物の根に対して、養液は必要量を最適なタイミングでミスト状の噴霧式で供給する。
垂直式・噴霧栽培では、植物に十分な酸素が確保でき、養液の吸収量も良く、成長も早い。常に植物の根が養液に浸かっている一般的なNFT・DFT式の水耕栽培より野菜の香りも強い、という。
同社では、こうした独自栽培技術について、2つの特許を取得し、10の特許を出願中である。
各生産ユニットの初期投資は5万ドル。現在の生産規模は100株/day程度
現在は垂直式の栽培システムが10台稼働しているが、8月中には、さらに30台を追加して9月には量産体制を確立する。現在の生産規模は、リーフレタス換算で日産100株程度となっている。
各栽培ユニットの面積は、床面積30m2に設置され、植物は落下しないように斜めに定植されている。垂直式にすることで、全体の栽培面積は90m2ほどを確保できる点がメリットの一つ。
各ユニットの初期投資は5万ドル。ここには、LED光源や噴霧式の養液循環システム、環境制御システムなどの設備一式が含まれ、小規模な生産者でも儲かる技術・事業モデルを提案している。